業界研究のススメ ~ テーマ① 独占
色々な話をしてきましたが、まだ就活を始める皆さんの中では自分のやりたい職業が決まっていないという人も多いのではないでしょうか。
現代は先の読めない時代です。世の中のスタイルが変わることで10年前に全盛だった企業が一気に赤字、ということも起きていますよね。
日本で例を挙げると、フリマやオークションアプリの普及でブックオフが、音楽や映像をダウンロードできるようになり、レンタルCD、DVDが苦境に立たされました。
去年や今年で言うと、トイザらスがそれですよね。
そんなわけでこれから何回か、業界を選ぶ上での『考え方』を少し紹介したいと思います。 この業界がいい悪いの具体的な言及は控えますが…
アメリカ最大のマーケットの正体
今回は『独占』をテーマにしたいと思います。
皆さんはウォルマートをご存知ですか?
これはアメリカ最大のスーパーマーケットチェーンです。
あのアマゾンにも並ぶほどの資本を持つ世界最大の企業です。
ここの商品はとにかく何でも揃っていて、安価なのが特徴です。
ですがアメリカではこのウォルマートの新規出店が決まると近隣住人が反対運動を起こすこともざらです。
さて、それは何故でしょうか。
それはこのウォルマートの手法が『負のループ』を作るとされているからです。
まずウォルマートは出店をすると安売りを開始します。
するとお客さんは既存の小売店からウォルマートに移ってしまいますよね。
それに対抗する為に既存の小売店も値下げを行いますが、資本力の差からすぐに限界が来てしまい、潰れてしまいます。
そうしてウォルマートが近隣の市場を独占するわけです。
また、ウォルマートが安売りを行うことで相場が下がり、野菜など地域の生産品の買取価格も下がります。
そうなると農家などの生産者の利益も減ります。
そうして出来た大量の失業者をウォルマートは低賃金、非正規雇用で雇い上げます。
賃金が安い彼等は価格の安いウォルマートでしか買い物が出来ません。
つまりウォルマートが払った賃金はウォルマートに戻る仕組みなのです。
そうして地域の資産を根こそぎ吸い上げると店舗を閉鎖して次の地域へ移ってしまいます。
そうなると地域には大量の失業者と買い物が出来る店のない焦土のような地域が残されます。
つまりウォルマートだけ儲かり、それ以外の皆が不幸になるというわけです
そしてこの安価が成立する理由は、従業員の酷使や搾取と、中国など外国の輸入品を安価に売るためで、これが自国の生産品が売れなくなる要因を生み出しました。
トランプ大統領はこれに反発し、アメリカ製品を第一に売り出そうというマニフェストを掲げたわけですね。
『独占』とは資本の支配
さてこの例で何を言いたいのかというと、ウォルマートが酷い、というのは簡単ですが、世の中はこれが現実ということです。
つまり大資本が他の同業者を飲み込み巨大化し、競争に負けた者は不安定な場所から抜け出せません。
アマゾンをはじめとし、この流れは今後も日本でも続くでしょう。
『独占する』側も後に時代の流れで業種自体が廃れることもあるので安泰とは言えません。
ですが『独占される』側は常に不安定なのは時代の流れで変わることはありません。
ゲームのモノポリーと同じです。Monopoly(独占)とはよく言ったもので独占する者は勝ち、される者は負けなのは資本主義の鉄則です。
『独占』とは資本の支配です。
すなわち現代の最強は『市場を独占』しており『その業態が今後もニーズが減らない』企業といえます。
よくビジネス誌で中小企業が狭いシェアを独占しているという記事が出ますが、あれも大企業以上に垂涎の企業です。
企業の規模はあまり関係ありません。
どんな分野でもシェアを独占している企業は強いのです。
独占が出来ない業界もある
ですがこの独占が意図的に出来ない業界もあります。
例えば人間ドッグで御馴染みのMRI。
これをある国で一企業がシェアを独占していたとします。
ですが機械というのはリコールの危険があります。
市場独占率100%のMRIがリコール対象になることは、その国からMRIが消滅するのと同義です。
こうなると医療現場は大混乱ですよね。
そうした事態を防ぐ為に医療機器は独占が禁止されており、シェアを分散しあっているわけです。
このような市場の独占がない業界が、『安定感のある業界』なわけです。
医療の場合今後も需要が減ることはないので、そういう意味でも安定感があるわけですね。
『モンスター』の有無を確認しろ
先のことは誰にも保証はできません。
ですがこれからの時代、アマゾンのような業界を独占する企業が現れる場合、その業界は今後間違いなく在り方を問われ、荒れることになるでしょう。
今の時代に不安定な業界のひとつが、このような生態系を喰い荒らすような『モンスター』がいる業界と言えます。
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