ちょっと待て!業界研究をする前に
よく『企業は即戦力を求めている』
という言葉を耳にすると思います。
私はリーマンショック時代の新卒でしたが、
その時代は今以上にこのワードが就活戦線を飛び交っていました。
さて、この『即戦力』とはどんなことでしょうか。
例えば
不動産関係志望者が宅建を
学生時代に取得しているとか、
外資系に行きたい人が
長期留学経験があるとか
ネイティブと英語で会話できるなど、
そういうものをイメージしますよね。
それに負けまいとして
就活生は業界研究をし、
専門知識を身に着け
その業界を勉強していることを
見せようとしたりします。
しかしちょっと待ってください。
それは本来
中途採用者に求められることであり、
初めから新入社員が持っていないことは
企業も分かっていることなのです。
学生が業界のことに
詳しくなくてもいいのです。
ですが
大抵の企業が学生に
『これは知っておいてよ』
という共通の勉学がある
ことをご存知でしょうか。
それは『ビジネスマナー』と呼ばれるものです。
心理学用語では『ハロー効果』
私は恥ずかしながら
面接で大失敗をしたことがあります。
夏の暑い日に
家を早めに出て
面接会場に向かう途中、
最短ルートの電車が
人身事故で遅延し
別ルートで面接会場に向かいました。
ギリギリに着いた私は、
面接会場のトイレで鏡を見て
締めようと思っていたネクタイを
締めることを忘れ、
締めないまま面接を受けてしまいました。
かなり勉強もして
意気込んで臨んだ面接でしたが、
面接官にネクタイを指摘された時、
私は思考が停止しました。
当然そこで面接に落ちてしまいました。
この経験から言いたいことは
『信頼はひとつの事柄で簡単にゼロになる』
ということです。
仮に面接の場で
業界の未来や卓越したスキルを
流暢に語れることができても、
敬語ができていなかったり、
ネクタイの結びが汚かったりすれば、
その勉強の成果も簡単に死んでしまいます。
心理学用語では『ハロー効果』と呼ばれる現象です。
日常でも
口数少ない人が
カラオケで見事な歌声を披露したり、
不良っぽい人が
本当は優しかったりすると
その人の評価が一気に上がるってこと、
ありませんか?
俗に言う
『ギャップ萌え』ですが、
これもハロー効果の一つで、
ポジティブハロー効果と言います。
逆に
真面目に宿題をする人が
実は成績が悪かったり、
政治家や警察官が
裏で悪いことをしていると、
ただ不真面目な人が
同じことをしていた時より
もがっかりします。
これがネガティブハロー効果です。
面接というのは
このネガティブハロー効果が
非常に起きやすい場所です。
真面目な顔をし、
熱いことを語り、
少しでも自分をよく見せよう
という心理が働きます。
その際に
一つ台無しにするような
失敗があると、
せっかく立派なことを言っているのに
途端に相手には嘘臭く聞こえてしまうものです。
そしてその『台無しにする失敗』とは、
社会人の場合
『ビジネスマナー』
の中で起きやすいのです。
プラスを作るより先に、マイナスをゼロに
『ポゼッションサッカー』
という理念をご存知でしょうか。
これは
サッカーの試合で
相手に一度もボールを取られなければ
理論上は負けない
という考え方のことです。
テニスにも
すべてのボールを拾えば
理論上負けない
という考え方が存在します。
就活もそれと同じです。
面接で
マイナスポイントがゼロなら
惨敗の面接はなくなり、
常に自分の長所のみで勝負できます。
それが出来てやっと
業界研究の成果が生かせ、
悔いの残る面接がなくなるのです。
まず
このマイナスポイントをゼロにする
ことを徹底しましょう。
業界研究でアピールを
考えることは後回しでいいのです。
業界研究は
複数の業界を
志望して就活をする場合、
その業界の企業にしか
使えませんが、
ビジネスマナーは
どの業種でも共通です。
覚えておけば
すべての企業に対し使える
テクニックなので、
業界研究よりも時間をかけても損はありません。
社会で教わることではない
いくら先輩が
最初に教育してくれる
からと言って、
先輩が
ネクタイの結び方や
敬語の使い方、
メモの取り方なんかを
説明しなければいけない
ような新人というのは
基本嫌がられます。
それくらいのこと
自分で勉強してよ…
というのがビジネスマナーの分野なのです。
『会社は学校ではない』
と言われる所以の一つです。
私は
新卒の学生に
企業が求める
『即戦力』
とは、
ビジネスマナーを一通り知っている学生
のことであると考えます。
知っている学生は
教育でいちいち口出しをしなくもよく
安心感があります。
これができている学生を
採用したくないと思う企業はありません。
新卒学生が
就活をする際に
真っ先に買うものは
SPIの問題集でも業界の専門書でもなく、
ビジネスマナーの参考書である
と言ってもよいでしょう。
特に金融や保険など、
客商売をする分野の
業界ほどビジネスマナーに厳しく、
面接官は目を光らせています。
そのような業界志望者は
ビジネスマナーは徹底しておくことをお勧めします。
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