何故正社員なのか? 比較してみる『非正規雇用』…給与編
私は新卒採用の就活で面接官に
「何故就職したいの?」
と聞かれたことがあります。
仕事はサラリーマンだけではない。
金を稼ぐならアルバイトでいいし、
社員も正社員である必要はない。
派遣社員や契約社員もあるし、
家業があるなら故郷に帰ればいい、
なのに何故多様な働き方の中で正社員を選ぶのか、
という質問です。
この面接官の意図は分かりませんが、
今の立場でこの質問を改めて考えると
私は『は?』という怒り混じりの感想しか出ません。
私は正社員になりたがる派遣社員、
契約社員は沢山見ましたが、
自分から派遣になりたいと願う正社員
というのに会ったことがありません。
恐らく読者の両親も
「無理して正社員にならなくていいのよ、非正規でいいんだから」
と言うとは考えにくいです。
私は今その人に会ったら
「じゃああなたは何で正社員なんだ?」
と聞いてやりたいです。
ですがこういう場面でも何かを言わなければいけない。
それが就活の難しいところですよね。
アルバイト、パート、派遣社員、契約社員――
これらは全て『非正規雇用』です。
現在日本の労働者の4割が非正規雇用者であり、
皆さんもこの言葉を身近に感じている人もいるのではないでしょうか。
私は『正規雇用』と『非正規雇用』どちらの立場も経験しています。
今後の皆さんの働き方を決める指標として、
両者の立場を味わった私が
『非正規雇用』について一部をご紹介したいと思います。
今回のテーマは『給与』です。
非正規雇用は低所得なのか
皆さんは『非正規雇用』と言うと
どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。
真っ先に来るのは『低所得』ではないでしょうか。
メディアで非正規雇用のネガティブなニュースが流れ、
その中心にいるのが、働いても豊かになれない、
いわゆる『ワーキングプア』です。
さてこの認識は本当に正しいのでしょうか。
答えは、正しくもあり、間違いでもあります。
実際私は非正規雇用から正規雇用になった際には月収が下がりました。
理由は『給与形態が変わったから』です。
大抵の場合非正規雇用者は
時給または日給で給与が決定します。
それに対し正規雇用になると、
定時(勤務時間8時間)までは固定給の形態を取ることが多いです。
ですが現代の日本の企業の多くは
この固定の基本給を低めに設定しています。
理由は残業代等の計算も基本給がベースで計算されるからです。
残業代は時給であれば時給の、
固定給であればその日割り時間の8分の1の25%が
1時間当たりプラスされます。
固定給の場合、
基本給が高ければ残業代の割合も増してしまうため、
企業は全ての給与計算の根幹になる基本給を抑えたがるわけです。
悲しいことに正社員の固定の基本給を日割り計算すると
派遣社員の8時間分の時給よりも下回っていることもよくあるのです。
これが正規と非正規の逆転現象を生み出します。
また昨今問題視されている、
基本給を高めに設定する代わりに残業代を含む、
という給与形態の場合、
長時間労働をすればするほど
時間当たりの労働単価は安くなっていきます。
非正規雇用者に残業が認められれば超えてしまうこともあります。
中小企業では有利なことも?
では何故非正規雇用者が低所得というイメージがあるのでしょう。
まず非正規雇用者の場合、
子育てをしている兼業主婦や高齢労働者など、
フルタイムを働かない人口も一定数いるため
そもそも全体を平均すれば金額は下がってしまうのです。
また賞与の有無が非常に大きいです。
正規雇用には賞与があり、
非正規雇用では貰えることは稀です。
そして長く務めてもベース給料が変動しない点です。
現在非正規雇用者がやる仕事は
正規雇用者のものと遜色がない職場も多いです。
ですが非正規雇用者は仕事を認めてもらいにくいです。
出世にも縁がないため、
責任ある仕事は挑戦したくても回ってきません。
また非正規雇用自体が派遣先の命令に従うという労務契約のため、
どうしても正規雇用者の指示を得なければいけない場面が多く、
正社員の指示で動く『指示待ち』に見えやすいこともあります。
結果ルーチンワークになりがちで、これでは昇給はしにくいです。
ですが中小企業など賞与の割合が低く、
昇給の機会の少ない企業での非正規雇用の場合、
フルタイムで働けば正規雇用者と遜色ない給与を獲得できるか、
それよりお得な場合もあります。
残念ながら賞与が数万円、
または全く出ない企業も多くあることも事実です。
そのような企業では
非正規雇用の給与のデメリットはほとんどないこともあるでしょう。
実は派遣よりも安い賃金を嘆いている正社員って、結構いるんですよ。
それでも非正規雇用でい続けることはお勧めはしない
と、ここまでは非正規雇用とはメリットもあるように聞こえるかもしれません。
しかし私はフルタイムで働くなら
絶対に非正規雇用の選択をお勧めしません。
その理由は次回に説明させていただきます。
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